ほんで、このばしば池のほとりにな、小さな茶店がありましてな。阿保の伊勢路ていうとこの名物「おまんこ餅」を売ってましてんて。
伊勢路の「おまん」という娘が作ったもんでな、今の「かしわ餅」とよう似ていたもんですねんて。はじめは「おまんの小餅」ていうふうに言われてたんが、どういうわけか「おまんこ餅」になってしもうたんやわ。
「おまんこ餅」はな、旅人やら道者の人やらに、えろう喜ばれましてな、よう茶店は繁栄しましてんて。ほんでな、道者の人らはこのばしば池のほとりで「おまんこ餅」を食べながら休憩。ここは、あんがい旅の人に人気がありまして小波田も新田と同じように旅籠は繁盛しましてんて。
話・奥ふみさん(大正五年生まれ)
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