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二つの石碑(短野)



 大屋戸杉谷天神からつづら折れの山道を登って短野の村に入る左手の山すそにな、谷川が流れてるんやわ。 そこに、ひとかかえ以上もある三角のおむすびのような石があって「心松圭哲」と大きな文字が刻まれていますんや。
 三百余年も前、ある身寄りのないお侍さんが、死んだ時のことを考えて、生きている間に「心松圭哲」と戒名をつけ、石に刻み、そしてその石を美しい水がわき、流れている所に建てたそうや。とむらってくれる人がいなくても、絶え間なくわき出ている水のほとりやったらよいと思たんやろうな。
 石碑からわかるんやが、その人は延宝五年(一六七七)七月十二日に亡くなった。村人たちはつくられていた石碑にお参りするようになってな。三百年余りたった今でもだれとはなく続けているそうな。
 ところがな、これと同じ字を刻んだ石碑が短野の墓地にもあるんや。気づいたのは十年ほど前やった。おそらく身寄りがなくて、死んだお侍さんのために墓地に埋葬、あらためて石碑を建てたようや。
話・萩森十一郎さん(大正十一年生まれ)

短野の墓地には大きな五輪の塔が建っています。大江貞基(清和天皇の皇子)の墓か、この地区へ逃げてきた落ち武者の墓とも伝えられています。
われわれに話をしてくれた萩森さんの家では大切におまつりしています。


●大屋戸杉谷天神2008/3/17現在。携帯で撮影。


@大屋戸杉谷天神/入り口1


A大屋戸杉谷天神/入り口2


B大屋戸杉谷天神/月次祭。階段左側


C大屋戸杉谷天神/お知らせ。階段左側


D大屋戸杉谷天神/案内。階段右側


E大屋戸杉谷天神/拝殿を望む


F大屋戸杉谷天神/鳥居左側


G大屋戸杉谷天神/鳥居をくぐって右側


H大屋戸杉谷天神/拝殿。遠景


I大屋戸杉谷天神/拝殿。近景

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