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春日明神の馬塚(八幡)



 八幡の中心の村道に二つの石灯ろうがあってな。今でも村人が交代で灯火をあげますんや。昔、この道はもっとせまく、下を通っておったので、昭和の初めに改修。このとき、大きな石が出てきましたんや。数人の人夫が集まってその石を取り除いたとたん、全員が激しい腹痛におそわれてしもうたんです。
「昔、春日明神が鹿島から三笠山にお移りになるとき一緒に連れてきた馬が死んだので、ここに埋めて上から大きな石でふたをした。」
当時、古老は、みんなにこう説明したそうや。
「これはきっと馬塚の石を取ったたたりかも知れん。元に戻そう。」
そんな話をしながら再びその石を動かして戻したんやわ。すると不思議なことに今まで痛めていた腹が治ってしもた。その石は今、道の下になってしまってるそうですわ。
 それに、ここには井戸があって、昔から御神水として病気によく効くといわれ、特に眼の病気には大変ききめがあるということだったそうですわ。そしてそばには、「芽生え杉」と呼んでる不思議な杉の木がしげってるんですわ。切ると芽が出ないはずなのに、ここの杉は切っても切っても新しい芽が出てきましてな。
 八幡にはの、古くから「八幡七不思議」があるといわれとるんやが、はっきり知っとる人は、もういないことじゃろ。これも「八幡七不思議」のひとつかもしれんのう。
話・畑中岩造さん(明治四十二年生まれ)
中川三好さん(大正元年生まれ)  
川口栄男さん(明治四十四年生まれ)

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