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頭屋まつり(上比奈知)



 秋が深まる十月十八・十九日、上比奈知では毎年、頭屋まつりを催します。前日の十七日にお餅をついて、まつりの準備。十八日は酒を飲んだ男の人達がつくったたいまつを持って神社へねりこみ、その場で獅子を舞ったり、さかずきをかわして、それはもうにぎやかなものです。
 たいまつは昔、四尺五寸(一・三メートル)、今は二尺四〜五寸(七十三センチ〜七十六センチ)と短くなりました。が、高さは同じ九尺(二・七三メートル)で変わっておりません。
中にシンを入れ、二尺五寸(七十六センチ)のまきを継ぎ足して九尺の長さにします。
 昔は「頭屋」、まつりの宿みたいなもんですが、男の子が産まれた家が、この頭屋をすることになってました。しかし、男の子が産まれても貧しい家は、村の庄屋に頼んで頭屋からはずしてもらうことが多かったそうです。まつりの経費が多くかかるためでしょう。
 現在では大字ごとにまつりをし、それも「戸口」に変わりました。戸口は二軒ありまして、みんなが集まったときにくじを引き、「一」「二」を決めて、「一」のくじを引いた家が中心になってまつりの指揮をとるのです。
 まつりの獅子舞は、まず頭屋を回ってから字の役員の家に行きます。米とお金をもらい、そのお金などは、まつりの経費にあてたりします。また、新築した家は縁起をかついで必ず奉納することになっています。
話・長谷川音松さん(明治三十四年生まれ)

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