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吹い竹地蔵(長瀬)



 長瀬は、谷間をぬって長い瀬があることから名付いたそうですがの。昔は大変交通不便で、病気にでもなると困ったものです。
 昔のことですが、ある冬、そうとう寒い日が続き、長瀬村でかぜがはやりましたんや。そのため、村人の半数ぐらいは、かぜでたいへん苦しんでな。放っておくわけにも行かず、何とかしようとあれこれ智恵を出し合いましたんや。
 その結果、かぜの神を追っぱらうため、長瀬から鈴又(高尾)へ抜ける山道のお地蔵様にお願いすることになりまして…。吹い竹を二本持って行ったんやわ。吹い竹をお供えして拝むと、お地蔵様がかぜの神を吹き飛ばしてくれるといういい伝えがありましてな。村人たちは一生懸命お祈りしたんです。
 すると数日後、苦しんでいた人たちは、熱も下がりだんだん元気になってきました。
「かぜの神が逃げて行きおったわい。」
「地蔵様にお参りしたお蔭じゃ。」
村人は地蔵様に感謝し、喜び合ったそうですわ。
 それからこのお地蔵様を吹い竹地蔵と呼ぶようになり、病気の時は必ず、吹い竹を二本持ってお参りするようになりました。吹い竹地蔵を大事に扱い、年に一度、地蔵の前で今でも餅まきをしていますんじゃ。
話・米山伝雄さん(昭和一年生まれ)

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