クワの音がくる日もくる日も響いてやっと完成。殿さんは、城をながめ、
「おお、みごとなもんじゃ。今日からここで、ひなご一族の再出発じゃ。みなの者、よいか。」
それは大変な喜びようじゃったそうな。
ひなご一族の努力と、農民たちの力で完成した城は、後もずっとほろびることはなく残っておったそうじゃ。
ひなご屋敷が建った後、この周囲に「城の内」や「古城(ふろんじょ)」て呼ばれとる「深山の城」が出来たのじゃ。城跡は、今の「生住家」の西の方、畑になっとるが、一帯を見渡すと、昔のこの辺の様子が目に浮かんでくるんですわ。
話・中野三重生さん(明治四十四年生まれ)
生住はるゑさん(大正二年生まれ)
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